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2002年9月11日

音楽ジャーナリスト:池田卓生の今日の音楽日記
ご案内

 9月2日

 フィンランド出張前の追い込みで「モストリー・クラシック」の原稿などを午前3時まで書いていたから眠いが、正午少し前の便に乗るには午前8時ころ家を出る必要があるので、6時45分に起床。湿度が極端に低い飛行機の中では髪がバサバサになり、「みな浮浪者みたいになって降機する」という説もあるほどだから、出発の朝にはシャンプーとスキンケアに時間をかける。スカンジナビア航空984便はコペンハーゲン直行、そこからヘルシンキ行のエア・ボタニア(SASの子会社)8376便に乗り換える。SASはエコノミー席がいったん発券されたが、団体との座席調整がコンピューターで行われ、ビジネスクラスが"当選"したのは幸運。ビジネス席だと「コの字」型の空気まくらとか、自己防衛グッズの使用を大幅に減らせ、ぐっすり眠れる。食事(飛行機の中までグルメをしなくてもいい)より椅子の良し悪しに決定的な差があるが、やはり安くはない。エアバス340型は快適で、トイレにも窓があって明るいのは良いデザインだ。機内では映画のほか、ゼンハイザーの高音質ヘッドホンを使ったオーディオ・サービスでヴェルディの歌劇「トロヴァトーレ」の古い録音(ジンカ・ミラノフがレオノーラを歌った1952年のMET録音)を楽しんだ。コペンハーゲンまで10時間、1時間半の待ち合わせでヘルシンキまで、さらに1時間半。デンマーク、フィンランドの間でさらに1時間の時差(日本寄りに1時間進む)があり、ヘルシンキに着いたのは同日午後8時。後のフライトでは携帯電話で世界最大手のフィンランド企業、ノキアの日本駐在員で日本語の上手な人が座っていて、びっくり。荷物を引き上げたら、スーツケースにかけていた鍵が外され、中身をチェックした形跡がある。結局、オンディーヌ・レコードのキールネン社長のために持参した中野振一郎のチェンバロのCDが"危険物"にみなされたらしい。包装が開けられていたが、MDプレーヤーやカメラなどの貴重品は無事。9月11日が近付き、世界中が航空テロの再発に神経を尖らせているのは当然としても、振ちゃんに間接的とはいえ、テロリストの嫌疑がかかったことは、その爆発的な演奏ぶりも想起できて笑える。空港の到着ゲートには招聘元のヘルシンキ・フェスティバルの運転ボランティアが僕の名札を持って、待っていた。ヘルシンキ中心部までは約20`、30分。ホテル・クラウス・クルキは古い建物で、ジムなどはないものの、20世紀初頭から「恋人たちの語らいの道」と呼ばれ、路面電車の走る美しい並木道の両側に多くのレストラン、カフェ、バーや公園を抱える一角にある。フィンランド出張は1993、95、97年に次いで4度目(98年は両親最後の入院でキャンセルした)。EU(欧州連合)加盟(95年)前、旧ソ連向け貿易の破綻で不況に陥り、金融危機への対応に追われていた時期から、ノキアの成功が象徴する奇跡の経済復興を遂げ、北欧の先陣をきってユーロを導入した現在に至るまでを継続して取材してきた。元はフィンランド人を母に持つ渡邊暁雄の指揮にひかれてクラシック音楽を聴きはじめ、シベリウスの音楽や、後にはマエストロ自身の人柄に魅せられ、駆け出し記者時代はインテリア業界を担当、フィンランドはじめ北欧デザインに傾倒していたので、この国に興味を覚えてからの年数はゆうに30年を超えている。




 今日の音楽

 ベートーヴェンの音楽で、最初に出版された「ドレスラー行進曲の主題による9つの変奏曲」の、今日は第3変奏までをご紹介します。
 ベートーヴェンが12歳の作品と記憶しています。

☆今流れている曲のアドレスは以下と通りです。音楽付きメール等にお使いください。
http://beethoven.op106.com/M20001201_091256/M20020909_064120.mid

をクリックすると一覧表が出てきます。


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