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2002年9月16日

音楽ジャーナリスト:池田卓生の今日の音楽日記
ご案内

 9月7日

 昨夜、演奏会後にザリガニ(クレイフィッシュ)のスープを食べて帰る途中から腹痛や膨満感がして嫌な予感がしたが、朝起きたら下痢、さらに脱水症状が起きた。朝食どころの騒ぎではない。正午前にはヘルシンキ空港国内線ロビーで旧知のピアニスト、オリ・ムストネンにインタビューする予定。ギリギリまでベッドで休み、熱めの風呂で体を温めた。11時にホテルへ迎えに来たフェスティバルの運転担当者に頼み、薬局で下痢止を買った。インタビューは快調。指揮者としてのムストネンが昨年のフェスティバルでデビューさせたヘルシンキ音楽祭管弦楽団の特色や演奏計画、オンディーヌのキールネン社長が「最高傑作」と胸を張ったシベリウス「ピアノ作品集」のこと、演奏や作曲に当たっての意識のあり方などをいつも通り、物すごく頭の回転の早い口調で語ってくれた。インタビューを終えると、出口には奥さんで同じくピアニストのカイヤ・ケルッポがニコニコ笑って待っていた。車でホテルへ戻ると再び水溶性の下痢。ザリガニの季節も終わりに近く、何らかのビールスにやられてしまったのだと思う。今度は近くの薬局を訪ね、下痢止めと併用して飲む消化剤を買い足した。途中、結婚式を見ることができ、ちょっと明るい気分。それから1852年創業のカフェ「エクベルク」に行き、ジュースとパンを調達。ホテルの部屋で食べ、すぐに薬を服用、そのまま3時半まで寝た。4時からは徒歩5分のサヴォイ劇場でミンナ・ヴァインカイネン振付のツーミ・ダンス・カンパニー公演「ツィルカ」をみた。コンテンポラリー・ダンスを親子で楽しんでもらうための入門編のような作品で、会場は家族連れの集団。パジャマ姿の男が見る夢の中に様々のダンス、音楽が現れる構成で、台詞は擬音や幼児語がほとんどなので、外国人にもわかる。音楽は生演奏。ギターやドラム、キーボードとともにアコーディオンが入ることや、民族舞踊の要素をかなり取り入れたあたり、かなりフィンランド色の強い作品だが、レヴェルは「可もなく不可もなし」で、輸出には不向きかもしれない。終演後、ホテルに戻って再び腹の調整。薬を飲み足し、今度は少し遠いアラビア陶器工場やデザイン工科大学の一体にあるメディア・センター・ルメに向かい、先日取材したダンスの協働プロデュース・グループ「ノマディ」と「Zodiak」の共催公演、アルポ・アールトコスキ振付のコンテンポラリー・ダンス「サハラ」を7時からみた。マルチメディア・スクリーンで床と後方に砂漠のリアルな映像が写され、時に都市の光景も挿入される中、男2人、女4人のダンサーがアフリカ風、フィンランド風?の衣装を取り替えながら、様々な群舞やソロを披露する。時間と場所の位相を巧みにずらしながら、それぞれの内面の砂漠が描写されるようにも思えるが、本当のところはよくわからない。北欧人が凝視するアフリカ、というズレ方も面白い。今日はどうせ食事の楽しみがないのだから、ともう一ヶ所がんばって、8時半からは入り江の仮設会場「フヴィラ・フェスティヴァル・テント」にタクシーで移り、イラン人の女性ロック?歌手、スーザン・ダイイーム(Susan Deyhim)のコンサート「マッドマン・オヴ・ゴット」を聴いた。打楽器、キーボード、フルート、チェロも交えた大音量で、12−19世紀イランの詩につけた現代のパワフルな歌をヘルシンキのテントで日本人が腹をさすりつつ聴く。最後まで変だった。




 今日の音楽

 バッハの最終回になります。ゴールドベルク変奏曲の最終変奏(第30変奏)を選びました。

☆今流れている曲のアドレスは以下と通りです。音楽付きメール等にお使いください。
http://beethoven.op106.com/M20001201_091256/M20020911_083057.mid

をクリックすると一覧表が出てきます。

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